top of page

【元食品衛生監視員が解説】食品表示とは?概要を分かりやすく説明

更新日:5月9日


食品を販売する際には、必ず守るべき「食品表示」のルールがあります。

しかし、その内容は複雑で「何をどう表示すればいいのか分からない…」と悩む方も多いでしょう。


そこで本記事では、「食品表示の概要」「表示が不要なケース」などを分かりやすく解説します。

「これから食品販売を考えている方」や「食品表示の概要を知りたい方」は、ぜひ最後までご覧ください。


目次




1.これだけは抑えよう!食品表示の基本と概要


まずは食品表示の概要を解説します。



1-1.食品表示とは















食品表示とは、消費者が安全に食品を選べるように、食品販売者が必要な情報を記載する制度です。

食品の名称や原材料名、内容量、消費期限、保存方法、製造者などの情報が記載されており、購入前に食品の詳細を確認できます。


また、食品表示には「生鮮食品」と「加工食品」で記載すべき項目が異なります。

この違いについては、後ほど解説します。



1-2.食品表示が必要な理由


食品表示が必要な理由は、消費者に食品の情報を正しく理解してもらうためです。


食品表示には「アレルゲン」や「消費期限」などの、健康に関わる重要な情報が記載されています。

この情報によって消費者は安全に食品を選ぶことができます。


また、万が一食品に問題が発生した際も、表示情報をもとに原因を特定し、迅速な回収や対応を行うことが可能です。


このように、食品表示は消費者の安全を守るだけでなく、事業者にとっても重要な役割を果たします。



2.食品表示はこんな記載をしている!例をもとに紹介


食品表示は「生鮮食品」と「加工食品」によって表示が異なります。

それぞれ詳しくみていきましょう。



2-1.生鮮食品の場合














生鮮食品とは、野菜・肉・魚など、加工されていない食品のことを指します。

生鮮食品を販売する際には、「名称」と「原産地」の表示が義務付けられています。


さらに、食品の種類によって追加の表示義務があります。


食肉:個体識別番号の記載が必要

魚介類:「生食用/刺身用」や「養殖/天然」などの表示が必要


このように、生鮮食品は種類ごとに表示すべき情報が異なるため、事前にしっかり確認しておきましょう。



2-2.加工食品の場合















加工食品とは生鮮食品や農作物を加工し、調理・保存しやすくした食品を指します。

例えば、みそや醤油、ドレッシングなど、多くの食品が加工食品となります。


加工食品は生鮮食品とは異なり、見た目だけでは「原材料」や「アレルゲン」の有無が分かりません。

そのため、生鮮食品よりも詳細な食品表示が義務付けられています。


加工食品の販売を考えている方は、表示すべき情報をしっかり把握し、適切に表示することが求められます。



3.食品表示のルールは食品表示法で定められている



食品表示に関するルールはどのように定められているのでしょうか。

ここでは「食品表示法」について解説します。



3-1.食品表示法とは


食品表示のルールは、消費者庁が管轄する「食品表示法」によって規定されています。

従来、食品表示に関するルールは、以下の3つの法律に分かれていました。


①食品衛生法

②JAS法

③健康増進法


しかし、これらの法律は2013年に「食品表示法」に統合され、ルールが一元化されました。


食品表示法の目的は、消費者の健康を守り、安全で適正な食品流通を促進することです。


また、「食品表示法」に基づいて具体的なルールを定めたものが「食品表示基準」です。


食品表示法

食品表示の基本原則を定めたもの

食品表示基準

食品表示法に基づき、具体的な記載ルールを定めたもの


食品を販売する際は、これらのルールを正しく理解し、適切に対応することが重要です。


参照:e-Gov法令検索「食品表示法
参照:e-Gov法令検索「食品表示基準


3-2.食品表示法の指導・監督は各自治体の保健所が担当


食品表示法は消費者庁が管轄する法律ですが、実際の指導や監督は各自治体が行っています。

具体的には自治体の食品衛生監視員が、巡回検査や立ち入り検査を実施し、食品表示に問題がないか確認します。


そのため、食品表示について確認したい点があれば、各自治体の保健所に問い合わせてみるのもひとつの手段です。


例えば、私が住んでいる大分県大分市では、大分市役所保健所が指導を行っています。

自治体によって管轄機関はさまざまですが、確認しておくと安心です。


(問い合わせの例:大分市の場合)

事項名

具体的な内容

問い合わせ先

品質事項

名称、原材料名、原産地、内容量など

衛生事項

添加物、アレルゲン、期限表示、製造者など

保健事項

栄養成分表示、機能性食品表示など


3-3.食品表示の具体的なルール


食品表示の記載項目や記載方法などの具体的なルールは、以下の記事で詳しく解説しています。

以下記事ではほかにも、「違反した場合」なども解説していますので、ぜひご覧ください。




4.食品表示をしなくていい場合とは?



ここまで食品表示について解説しましたが、食品表示をしなくていい場合はあるのか疑問に思う方も多いはずです。

結論から言うと「容器包装がない」場合は、食品表示の義務はありません。


また、容器包装がある場合でも、食品表示が一部免除される場合があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。



4-1.容器包装しない食品の場合


















容器包装をしない食品の場合は食品表示の義務はありません。

容器包装をしない食品とは、たとえばパン屋で並べられているパンなどが該当します。


パン屋のような場合は、店員との対面販売が前提となっています。

消費者は疑問点があれば、その場で確認がとれるため、食品表示が免除されています。


ただし、消費者庁からは食物アレルギー情報の表示が推奨されています。

店頭POPなどを活用して表示することをおすすめします。



4-2.製造場所での店頭販売の場合


















容器包装されていて製造場所で販売する食品の場合は、食品表示の一部が免除されます。

製造場所で販売する食品とは、 たとえばお店の厨房で作り、そのまま販売する「ジャム」や「プリン」などです。


ただし、「店内で作っているから表示が不要」と誤解されることがありますが、それは間違いです。


以下の項目は表示が義務付けられています。


・名称

・アレルギー情報

・添加物

・消費期限/賞味期限

・保存方法

・製造者情報


なお、以下の項目は表示が免除されます。


・原材料名

・原産国

・栄養成分



4-3.表示可能面積が30㎠以下の場合

















包装の表示可能面積が30㎠以下の場合も、食品表示が一部免除されます。


ここでいう表示可能面積とは、ラベルの大きさではなく、包材全体の大きさを指します。


小さなパッケージでは、すべての表示項目の記載が難しいため、一部の情報の省略が認められています。


以下の項目は表示が義務付けられています。


・名称

・アレルギー情報

・添加物(使用の有無)

・消費

・賞味期限

・保存方法

・製造者情報


なお、以下の項目は表示が免除されます。


・原材料名

・原産地情報

・添加物(詳細情報)

・内容量

・栄養成分

・遺伝子組み換えに関する情報



5.食品表示は自作できる?それとも専門業者(コンサルタント)に頼むべき?


ここまで食品表示の概要を解説しましたが、いざ食品表示ラベルの作成を考えた際、不安に思うことが多いはずです。


ここからは、


・食品ラベル作成の難しい点

・専門業者(コンサルタント)への相談をオススメする場合

・専門業者(コンサルタント)への相談が不要な場合


をそれぞれ解説します。



5-1.食品ラベル作成の難しい点



食品表示ラベルの作成は、以下の点が特に難しいとされています。

①「食品表示法」改正への対応

②原材料やアレルゲン情報などの正確な記載

③ラベルデザインや印刷コスト



①「食品表示法」改正への対応


食品表示ラベルは「食品表示法」に基づき、多くのルールを守る必要があります。

しかし食品表示法は2015年に施行されて以降、たびたび改正されています。


例えば、2017年には加工食品の原料原産地表示が義務化され、2020年には栄養成分表示が完全義務化されました。

さらに2023年には遺伝子組換表示制度が見直されるなど、施行後も継続的に制度改正が行われています。


このような法規制への対応が、食品表示の難しい点のひとつです。

もし制度変更を見逃すと、表示違反となるため注意が必要です。



②原材料やアレルゲン情報などの正確な記載


食品表示ラベルは、原材料やアレルゲン情報などの正確な記載が求められます。

特に注意が必要なのが、以下の点です。


・表示方法の細かいルール(アレルゲンの強調表現など)

・栄養成分表示

・誤解を招く表現の禁止


これらの規則を守らないと、行政指導や販売停止のリスクがあるため、ラベルには正確な記載が求められます。



③ラベルデザインや印刷コスト


食品表示ラベルは、法的に必要な情報を分かりやすく配置する必要があります。

小さい商品パッケージの場合は、限られたスペースでの記載も必要です。

また、耐久性や印刷コストなど、ラベルそのものを気にかける必要があります。



5-2.専門業者やコンサルタントへの相談をオススメする場合



これまで説明したように食品表示ラベルの作成には、「法規制」や「デザイン」「コスト」など、考慮すべきポイントが多くあります。


したがって専任の担当者がいない場合は、専門の制作代行業者やコンサルタントに相談を検討するとよいでしょう。


特に以下のようなケースでは、専門業者のサポートを受けることでスムーズに対応できます。


・初めてラベルを作成する場合

・多品種の商品がある場合


専門業者を利用することで、食品表示のミスを防ぎつつ、デザインや印刷コストが最適化されます。


状況に応じて検討するとよいでしょう。



5-3.専門業者やコンサルタントへの相談が不要な場合



食品表示の法規制を十分に理解し、適切に対応できる場合は、自社でのラベル制作が可能です。

また、ラベルプリンターが利用できる場合は、外部業者に依頼せずに対応できます。


自社でラベルを制作することで以下のようなメリットがあります。


・必要なタイミングで、必要な分量だけ印刷できる

・頻繁にラベルを変更する場合に柔軟に対応できる

・外注コストを抑えられる


そのため食品表示法に対応でき、ラベルの更新頻度が高い場合は、自社でのラベル制作を検討するとよいでしょう。



6.YAKUYAKUは「食品表示」の相談をお受けしています


YAKUYAKUは市役所出身の元食品衛生監視員である、私、野口が運営する会社です。


これまでの食品衛生監視員としての経験を活かし、飲食業界の皆様へ「美味しい」と「安全」の両立をサポートいたします。


今回解説した「食品表示」についても、事業者様の状況に応じた解決策を提案します。


食品表示にお困りの場合は、無料相談を受け付けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。


【お問い合わせ方法】

ホームページ下部問い合わせフォーム(ContactUs)から

・メールアドレス(matcha-no@odori-co.com)から

・電話でお問い合わせ(電話番号:070-8949-6827)



7.まとめ|食品表示は消費者へ正しく情報を伝えることが重要


今回の記事では、以下のことを解説しました。


・食品表示の概要

・食品表示が「必要な場合」「しなくていい場合」

・食品表示ラベルの作成を専門業者へ依頼した方がいい場合


食品表示は消費者の健康にかかわる情報を提供するため、法律に則った正しい表記が必要です。

「初めてラベルを作成する場合」や「多品種の商品がある場合」は専門業者への相談をおすすめします。


Komentarze


bottom of page