乳製品製造業の許可取得への道
- モトヒロ

- 2025年8月23日
- 読了時間: 5分
こんにちは、元保健所職員で薬剤師のモトヒロです。
このブログでは食品の安全性や衛生管理に関する話題を取り上げています。
今回は、前回の清涼飲料水シリーズに続き、今回は「乳製品製造業」についてこれから始めたい人向けに、 まずは欠かせない「営業許可の取得手順」を丁寧に解説します。

1.乳製品製造業の市場と魅力
日本の乳製品市場は、原乳生産量が2024年度に8,285千トンと前年度比0.7%増加し、微増傾向で推移しています。国内市場の規模は約1.7兆円に達し、業界全体の成長率は−1.7%ながら、利益率は3.7%と堅調です。大手から中小まで多様なプレイヤーがしのぎを削る中で、品質や付加価値にこだわる動きが加速しています。
また、地域内での生産から消費までを完結させる「地産地消」の取り組みが全国各地で広がり、地元原料を生かしたオリジナル製品への関心が高まっています。加えて、プロバイオティクスヨーグルトや高たんぱく乳飲料といった付加価値型商品の市場投入が増加し、消費者の選択肢がかつてないほど多様化しています。
こうした潮流を受けて、自家製チーズやクラフトヨーグルトといった小規模生産者による“手づくり”乳製品が注目を浴びています。地元酪農家の新鮮な生乳を用い、フレッシュチーズや機能性ヨーグルトを限定販売するなど、大手メーカーにはないストーリー性と地域色豊かな商品づくりで差別化を図る動きが拡大しています。

営業許可業種の解説(厚生労働省HPより)
2.許可を規定する法律の概要
「乳及び乳製品の製造」は食品衛生法に基づき、許可が必須です。 具体的には、牛乳・生乳の殺菌処理やアイスクリーム・チーズ等の加工方法、 衛生管理手法が法律で細かく定められています。
一点注意して欲しいのは、乳製品のうちバター、チーズ等の固形物の小分けについては小分け販売については、乳製品製造業の許可ではなく小分け製造業の許可に該当する場合があります。

3.乳製品製造業における規格基準
乳製品製造業は、食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格及び製造方法の基準省令」(昭和26年厚生省令第52号)によって、製造する区分毎に成分規格や製造基準、保存基準などが厳格に定められています。
ここでの注意点としては、牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳及び無脂肪牛乳を製造する場合並びに生乳又は生水牛乳を使用する加工乳及び乳製品(加糖練乳乳を除く。)を製造する場合には、次の要件を備えた生乳、生山羊乳又は生水牛乳を使用すること。
大前提として、原材料に使用する原材乳は、生乳等を規格に満たす必要があるということ。(ただし、特別牛乳においては一部適用が外れるケースがあります。)
以下に、チーズやアイスクリームを参考に解説します。
◎ナチュラルチーズ(ソフト及びセミハードのものに限る)
成分規格
項 目 | 規 格 |
リステリア・モノサイトゲネス | 100 以下/g |
ナチュラルチーズのソフト及びセミハードについては、コーデックスのチーズの一般規格(Codex General Standard for Cheese(CODEX STAN 283-1978)の7.1.1 における識別語「 soft 」又は「 Firm /Semi-hard」の定義を満たすものを指します。
◎プロセスチーズ
(お気づきのように項目はだいぶ細かくそれぞれ決められています…)
成分規格
項 目 | 規 格 |
乳固形分 | 40.0% 以上 |
大腸菌群 | 陰性 |
◎アイスクリーム
(注アイスクリームもアイスミルク、ラクトアイスなど成分規格によって規格等が変わります)
成分規格
項 目 | 規 格 |
乳固形分 うち乳脂肪分 | 15.0%以上 8.0%以上 |
細菌数 | 100,000 以下/g ただし、発酵乳又は乳酸菌飲料を原料として使用したものにあっては、乳酸菌又は酵母以外の細菌の数が100,000 以下とする。 |
大腸菌群 | 陰性 |
製造基準
1.アイスクリームの原水は、食品、添加物等の規格基準に定める食品製造用水(以下「食品製造用水」という。)であること。
2.アイスクリームの原料(発酵乳及び乳酸菌飲料を除く。)は、摂氏68度で30分間加熱殺菌するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で殺菌すること。
3.氷結管からアイスクリームを抜きとる場合に、その外部を温めるため使用する水は、流水(食品製造用水に限る。)であること。
4.アイスクリームを容器包装に分注する場合は分注機械を用い、打栓する場合は打栓機械を用いること。
5.アイスクリームの融解水は、これをアイスクリームの原料としないこと。ただし、2.による加熱殺菌をしたものは、この限りでない。

4.施設要件
・原材料の保管及び調合並びに製品の製造及び保管をする室又は場所並びに生乳の貯蔵設備(生乳を使用しない施設を除く。)及び受入検査設備(生乳を使用しない施設及び検査を外部委託する施設を除く。)を有し、必要に応じて洗瓶をする室又は場所を有すること。なお、室を場所とする場合にあっては、作業区分に応じて区画されていること。
・製品の製造をする室又は場所は、ろ過、殺菌、冷却、充填及び包装に必要な設備を有し、必要に応じて発酵、濃縮、乾燥、乳化及び分離をするための設備を有すること。
※各自治体によって若干の違いもありますが、区分けをしっかり決めて、衛生的に管理すれば施設等のハード面もコストを抑えることも可能かと思います。

5.おわり
以上が、乳製品製造業の許可取得に向けて、必要な基準等のお話をしました。
反響があれば、次回はHACCPプランや表示ラベルについて解説できたらと思います。それではまた!!




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